2013年5月14日火曜日

スピカに恋するアルデバラン

今日も今日とてうぐいすが、開け放した窓に美しい声を届けてくれています。
今日は部分練習をしているようで、ぴちゅぴちゅぴちゅぴちゅ、ぴーちゅぴーちゅってフレーズを確かめるような鳴き方をしています。鳥の声を聞いていると、なんだかわたしたちが練習する時と似ていて面白いですね。以前窓を開けて練習していた時、ベランダに鳥がきて一緒に歌ってくれたことがありました。勿論鳥のほうがとてもとてもうまくて、わたしのバイオリンなぞ恥ずかしくなってしまうくらいでした^^;
弾くのをやめて鳥の声を聞いていると、ああもう終わりなの?って具合に飛び立っていってしまいましたが、沢山いる動物の中で、きっと鳥は一番音楽の神様に愛された生き物なのでしょうね。多くの作曲家が鳥の声に魅せられて、それを自分の音楽に取り入れていったのもわかります。

何処かから甘いチョコレートの香りがしてきます。トーストの焼けた香ばしさと、眠たい朝には丁度良い、やや甘ったるいくらいのチョコレートペーストの甘い匂い。珈琲と朝のニュースと一緒にゆっくり頂いて、今日一日どのように過ごそうかなどと考えたり、自分の体ひとつひとつの場所に、なにか不具合はないか聞いて回ったり。朝ゆっくり過ごせるって、なんだかとても贅沢ですよね。


そうそう、先日自分のためにプリンタを購入しました。嬉しい!高い買い物だったけれど、これがあればもう怖いものなしです。なにが良いって、楽譜のコピーが部屋で出来るのが有難い(>_<)まだPCとの接続がうまくいっていないのでPCデータを印刷することが出来ないのですが、おいおい何とかなるでしょう。しかし近頃の電化製品売り場はなんだか進化したものが沢山置いてあってびっくりしました。オリジナルカレンダーキットみたいなものから、保護フィルムのようなものをノートに被せるとそれがデータとしてスマートフォンに転送されるとか。なんだかもう、手塚治虫の漫画やバックトゥザフューチャーなんかでみた未来の世界でみたことがあるようなグッズが店頭に並ぶ日も近そうですね。文明の発達って本当に目覚ましいです。いっそ怖いくらいで、もう少し歩くスピードを緩めませんか?って言いたくなってしまいます。

企業同士、国同士の競争のために、走り出したら止まれないのはわかり切っていること。変わって良かったものと、失ってはいけなかったものというのは何年も経ってからでないと見えてこなかったりします。わたしが残念なのは、大正ロマンや昭和モダンの、あの欧米文化と日本文化が混在したファッションやアート、建築などが殆どなくなってしまったことです。ことファッションに関して、普段和服を着て過ごすひとはごく一部に限られているわけで、じゃあ普段着てみればいいじゃないと言われても着物自体が高額である上着付けもひとりでは出来ないし、よしんばそれで出かけたとしても、なにか特別な事があるのかと思われることは必至でしょう。

懐古趣味と言われればそれまでですが、日本の美に対する姿勢がとても好きなものですから、こうして日本の伝統的な美しいものが一般的でなくなってしまっているのが少し寂しくも感じたりするのです。それをいったらヨーロッパだっていまはドレスを着ていないのだけど!!(ちなみにフランス革命あたりのファッションなども好きです)

形のあるものは時を越えてもその姿をとどめたままわたしたちの前に現れてくれたりします。パピルスやネウマ譜のように、石器や化石のように。でも形があるからこそ滅びてしまうこともあります。実在するということにどこか油断して、それ自体を慈しむことを疎かにしてしまったりするのでしょうか。

いま目の前にある色々なもの、生き物も建物も、声も風も、わたしを取り巻く様々なものひとつひとつを、油断せずに心にしまっていけたらいいと思うのです。
星野沙織
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